薬剤事故防止が重要課題

医師・薬剤師・看護婦によるチーム医療が行われている場合、臨床薬剤師が医師の問いかけに対してアドバイスを行うことは出来ますが、患者に対して、どのような薬を与えるかを決定することは薬剤師ではなく、あくまでも医師にのみ与えられている権利であり責任です。

医師の処方箋に対して改良を求めることは、基本的に越権行為であるといえますが、商品名での処方がされている場合で、その処方箋を持ち込まれた先の薬局に同一組成・同一薬効の別のメーカーの商品の扱いしかなかった場合、薬剤師は処方箋を書いた医師に対して、これを用いてもよいかを聞き、医師の指示・最終決定の上で変更を求めることは可能です。

薬剤に関する事故はいまなお医療事故のなかでも多くの割合を占めており、薬剤事故の防止は重要な課題の一つであり続けています。

その理由を考えるとき、あらためて、薬剤そのものが、医療の現場の検査、診断、治療にどれほど広くかかわっているかに気付かされます。

また、薬剤に関する業務そのものが、診断、処方、調剤、監査、そしてその使用に至るまで、いくつものプロセスで構成され、加えて、多くの部署や職種が様々な形でかかわる、極めて複雑なシステムであることにも気付かされます。

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薬剤事故の位置付け

ところで、医療事故のなかで、薬剤事故はどのように位置付けられているのでしょうか。

日本と同様に、医療安全が社会的な課題となっているアメリカでは、JCAHOという、医療機関を評価・認定する第三者評価機関が、毎年National Patient Safety Goalsという、全米レベルでの安全目標を定めるようになりました。

2009年のNPSGにも、薬剤事故の防止に関することが数多く挙げられています。単に目標として示すだけでなく、達成のための遵守事項を細かく定めているところがポイントです。

たとえば、「医療従事者間のコミュニケーションの有効性の向上」という目標には、「口頭指示や電話での指示は必ず書いて読み上げて確認すること」「それぞれの施設のリストに従い、危険な略号は使用しないこと」といった遵守事項を定めています。

また、「薬剤の使用の安全性の向上」という目標には、「採用薬剤の規格を制限する」「聞き間違いやすい薬剤、見間違いやすい薬剤のリストを、毎年1回以上見直し、間違い防止のための方策を検討すること」「すべての薬剤と、薬剤を移し替えた容器には、何が入っているかがわかるようにラベルを貼ること」といった遵守事項を定めています。